こんにちは。【ブランドアンティーク弁天堂】、オーナーの「岩本雄二」です。
突然のインターホンに驚いて出てみると、事前のアポイントメントなしに突然やってきた見知らぬ業者から、不用品や貴金属の買取を迫られたという経験はありませんか。アポなしで訪問買取に来る業者の対応に困惑し、違法な押し買いではないかと不安を感じて検索された方も多いかと思います。
また、万が一強引に安く買い叩かれて二束三文で手放してしまった場合のクーリングオフができるのか、あるいは悪質な居座りに対する正しい断り方が分からず悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、古物商の現場で長年様々なケースを見てきた私が、訪問買取におけるアポなし営業の実態や、法律に基づいた正しい対処法について詳しく解説していきます。
この記事を通して知識を身につけ、あなたの大切な財産を守るためのお手伝いができれば幸いです。もし、すでに突然の訪問を受けてお困りの場合は、突然の押し買い被害に遭った際の緊急対処法を解説した記事もすぐにお役立ていただけます。
アポなしの訪問買取は違法なのか

まずは、一番気になる「事前の約束なしに突然やってくる買取業者は、法律的にどうなのか」という点について詳しくお話しします。特定商取引法という消費者を守る法律の観点から、どのような営業行為がルール違反にあたるのかを一緒に確認していきましょう。
アポなしの訪問買取の結論と全体まとめ
突然の訪問に戸惑ってしまうかもしれませんが、結論から言うと、事前の約束なしに買取の勧誘に来ることは原則として禁止されています。これは法律でしっかりと定められたルールなので、まずはこの大前提をしっかりと覚えておいてくださいね。
消費者の方から「来てほしい」と査定の依頼や要請をお願いしていないのに、業者が勝手に自宅の敷地に入り込んで、インターホンを鳴らして買取の営業をすることは明確な違法行為に当たります。ですので、アポなしで突然やってきた業者に対しては、一切遠慮することなく、きっぱりと対応を断ってしまって全く問題ありません。
例えば「ご近所を回っているついでなので」と愛想よく話しかけてきたとしても、その言葉の裏にはあなたのご自宅にある価値の高い品物を安く買い叩こうとする狙いが隠されていることが多いんです。しかし、法律のルールさえ知っておけば、いざという時に慌てることなく、冷静に対処できるかなと思います。
まずは「アポなしの訪問買取には絶対に応じない」「玄関のドアは開けない」という強い意志を持つことが、あらゆるトラブルを未然に防ぐ第一歩ですよ。大切な財産や思い出の品を守るためにも、ここから先で解説する具体的な手口や法律の知識をしっかりと身につけていきましょう。
特定商取引法に基づく不招請勧誘の禁止

なぜアポなしの訪問がダメなのかというと、「特定商取引法」という法律で極めて厳しく規制されているからです。この法律の中には「不招請勧誘(ふしょうせいかんゆう)の禁止」という、消費者を悪質な業者から守るためのとても重要なルールが存在します。
少し聞き慣れない難しい言葉かもしれませんが、要するに「呼ばれてもいないのに勝手に訪問して勧誘してはいけない」ということです。(出典:消費者庁『特定商取引法ガイド 訪問購入』)
過去に、一人暮らしのお年寄りなどを狙って、自宅に上がり込み、強引に貴金属や着物を市場価値からかけ離れた不当な安値で買い叩く「押し買い」が全国的に深刻な社会問題となった背景があります。以前、静岡新聞でも「高齢者狙い買い取り装う 志太榛原 貴金属盗相次ぐ」という見出しで事件が報じられたことがありましたが、こうした被害は決して他人事ではありません。
国もこの事態を重く見て、消費者を守るために平成25年に法律を大幅に改正し、事前の同意を得ていない飛び込みでの買取営業を例外なく全面的に禁止しました。その結果、消費者の意図しない突然の買取勧誘は法律違反として厳しく罰せられるようになったのです。
不招請勧誘の禁止とは
事前の査定依頼や訪問のお願いをしていない消費者に対して、業者が突然自宅にやってきて買取の勧誘を行うことを全面的に禁じる法律の規定です。

例外なく、いきなりインターホンを鳴らして「何か不要なものはありませんか」「靴一足からでも買いますよ」と聞いてくる行為自体が、すでに法律違反となります。私たちのような適正な基準を遵守する買取業者であれば、必ず事前にお客様からお問い合わせをいただき、明確な同意を得てから訪問するというルールを厳格に守っています。
もしアポなしで業者が来たら、その時点で法律を守る気がない、あるいは法律を無視している悪質な業者である可能性が非常に高いと考えてよいかもですね。その場は適当に話を合わせてやり過ごそうなどと考えず、絶対に家の中には入れないようにしてください。
事前の査定依頼を超える買取勧誘も違法
アポなしの突然の訪問は論外ですが、実は事前に電話やメールで約束していたとしても、気をつけなければならない注意が必要なケースがあります。それは、お客様が査定をお願いしていた品物以外のものを、業者が勝手に要求して強引に買い取ろうとする行為です。
例えば、あなたが「着なくなった古着を査定してほしい」と業者を呼んだとしますよね。約束通り業者がやってきて古着を見た後、「ところで、ついでに不要な貴金属や使っていないブランド品のアクセサリーはないですか」「今なら金が高く売れますよ」と聞いてくることがよくあります。
実はこれ、何気ない会話に見えますが、事前に依頼された範囲を逸脱した勧誘行為となり、特定商取引法に明確に違反する違法行為なんです。
便乗した勧誘には要注意!
不用品の回収や安い品物の査定を口実にして家に上がり込むハードルを下げ、最終的には一番の目的である価値のある貴金属やブランド品を狙うのが悪質業者の常套手段です。
「せっかく専門家が来たのだから見てもらおうか」と、親切を装った言葉に乗せられてはいけません。あなたがご自身で「これも査定してください」とお願いしていない品物について業者側から勧誘されたら、それはルール違反ですから、きっぱりと断ることが大切です。
正しいルールを守って誠実に運営している古物商なら、事前にお聞きしていないお品物を「無理やり見せてほしい」と催促するようなことは絶対にありません。また、業者を家に招き入れる前に、今日は何を査定してもらうのかを事前にはっきりと確定させておくこともトラブル防止に繋がります。
もし少しでも怪しいな、しつこいなと感じたら、その場ですぐに査定を打ち切って、お引き取りいただくのが一番安全かなと思います。
なりすましやすり替えなど巧妙な悪質手口

法律が厳しくなったことで、昔のように力ずくで押し入るような業者は減りましたが、その代わりにお客様の心理的な隙を突く悪質な手口がどんどん巧妙化しています。彼らは特商法の網の目を潜り抜け、何とかして玄関のドアを開けさせようと、本当に様々な嘘をついて近づいてくるんです。
現在の被害で一番多いのが、訪問の正当性を偽装する「なりすまし」と呼ばれる手口ですね。「この地域の不用品回収のトラックで巡回しています」「すぐご近所のお宅で作業をしたので、ついでにご挨拶に寄りました」「市役所から委託を受けたリサイクル活動です」などと、公共性や安心感を匂わせて訪問してきます。
もちろん、これらはすべて嘘であり、目的は警戒心を解いて家の中に上がり込み、買取の勧誘をすることです。しかし、先ほどもお話しした通り、事前にあなたが買取のお願いをしていない以上、どんなにもっともらしい理由や親切そうな口実をつけても、不招請勧誘という違法行為になります。
また、事前の電話アポイントでよく使われる「すり替え」の手口も非常に厄介で、多くの方が被害に遭っています。「履き古した靴でも、穴の空いた服でも、欠けたお茶碗でも何でも買い取ります」という極端にハードルの低い案内で、まずは訪問の約束を取り付けます。
お客様は「捨てるくらいなら少しでもお金になれば」と思って呼ぶわけですが、実際に家に来ると目的のガラクタには目もくれません。そして、「うちの会社は金やプラチナも買い取っているんですが、奥様、何かお持ちじゃないですか?」と急に態度を変えて、本来のターゲットを迫ってくるわけです。
これは、最初から価値のある貴金属を狙い撃ちにするための、計画的な偽装工作(アポイントのすり替え)なんですね。こうした業者は、高齢の方や断るのが苦手な方の心理を言葉巧みに操るプロフェッショナルです。
「何でも買い取る」「無料でお手伝いする」という甘い言葉には、必ず裏があるかもしれないと常に警戒心を持つことが、ご自身を守る強力な盾になります。悪質業者が用いる具体的な手口やその対策についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの悪質な押し買い業者の手口について解説した記事もあわせてご覧ください。

居座りなど不当な勧誘への正しい断り方

どんなに気をつけていても、言葉巧みな話術に騙されて、もし悪質な業者を家に入れてしまった場合、一番恐怖を感じるのが「居座り」の被害です。彼らは、あなたが「やっぱり売るものはないです」「用事があるので帰ってほしい」と明確に伝えても、あの手この手で理由をつけて粘り、絶対に帰ろうとしません。
時には複数人の男性で家に上がり込み、大声を出したり威圧的な態度をとったりして心理的な圧迫感を与え、お客様が「もう契約書にサインするしかない」と諦める雰囲気を作り出そうとします。消費者がはっきりと「帰れ」と言っているのに何時間も居座り続ける行為は、特定商取引法違反(迷惑勧誘)であるだけでなく、刑法上の「不退去罪」に問われる可能性もある立派な犯罪行為です。
このような恐ろしい状況になってしまった場合の正しい断り方は、とにかく毅然とした態度を一切崩さずに貫くことです。「これ以上は売りません、お引き取りください」「今すぐ帰らないなら、警察を呼びます」と、はっきりと強い口調で意思表示をしてください。
しつこい勧誘への対処法
・絶対に「家族に相談してから」「少し考えておきます」といった曖昧な返事をしない。
・恐怖を感じたら、迷わず目の前で110番通報するか、ご近所の人に大声で助けを求める。
法律では、消費者が「勧誘を受けない」「これ以上の取引はしない」と意思表示をした時点で、業者はそれ以上勧誘を続けてはいけないことになっています。これを再勧誘の禁止と言いますが、このルールがあるため、断られたら業者はすぐに引き下がらなければならないのが絶対のルールです。
それでも、女性の一人暮らしやご高齢の方だけで対応するのが不安な時は、あらかじめ業者と約束した時間を離れて暮らす家族や信頼できる友人に伝えておき、査定の時間に同席してもらうのも非常に有効な防衛策ですよ。第三者の目があるだけで、悪質業者は強引な手段に出にくくなります。
決して一人で問題を抱え込まず、少しでも危険を感じたらすぐに行動を起こしてご自身の身の安全を最優先に確保してくださいね。
特商法の規制対象外となる一部の物品

ここまで、訪問買取がいかに厳しく法律で規制されているかについてお話ししてきましたが、実は世の中に流通しているすべての品物がこの規制の対象になるわけではありません。一部の特定の品物については、特定商取引法の「適用除外」として扱われ、訪問買取の厳しいルール(不招請勧誘の禁止など)が適用されないケースがあります。
なぜ適用除外になるかというと、その物品の性質上、その場ですぐに強引に持ち去られたり、突然の不意打ちによる押し買いの被害が物理的に発生しにくいからです。例えば、どのようなものが規制の対象外になるのか、分かりやすく表にまとめてみましたので見てみましょう。
| 規制の適用除外となる主な物品 | 適用除外となる理由と背景 |
|---|---|
| 自動車(四輪) | 登録制度による名義変更などの厳格な手続きが必要であり、その場での即時転売や強引な持ち去りが事実上困難であるため。※ただし、二輪車(バイク)は容易に持ち去り可能なため規制の対象です。 |
| 大型の家庭用家電(冷蔵庫・洗濯機など) | 重量があり物理的な運搬が非常に困難であるため、不意打ちの押し買いが発生しにくく、消費者の利益を著しく損なうおそれが少ないため。 |
| 家具 | 大型家電と同じく、運搬に大掛かりな手配が必要となり、抜き打ちでの強引な訪問購入の対象となりにくいため。 |
| 書籍、CD、DVD、ゲームソフト類 | 1点あたりの単価が比較的低く、たとえ被害に遭ったとしても財産的に致命的な規模に拡大しにくいため。 |
これらの品物は、仮にアポなしで業者が訪問してきて買取の勧誘をされたとしても、法律で禁止された不招請勧誘(違法行為)には直ちには当たらないケースがあります。しかし、だからといって業者がどんな強引な勧誘をしても許されるというわけでは決してありません。
消費者が明確に断っているのにもかかわらず、ドアに足を挟んでしつこく迫るような迷惑行為や威迫行為は、別の法律の観点からも当然ながら問題となります。また、注意していただきたいのが、家電であってもパソコンやスマートフォンのように「片手で簡単に持ち運びができるもの」は、容易に持ち去られる危険性が高いため、規制の対象となります。
少しややこしいかもしれませんが、基本的には「すぐに持ち去られると大きな財産的被害が出る貴重品(貴金属、ブランド品、時計、着物など)」は、すべて法律でガッチリと守られていると覚えておいてください。万が一、自分の売りたい品物が規制の対象かどうか迷った場合は、ご自身の判断だけで諦めず、最終的な判断は消費生活センターなどの専門家にご確認いただくことを強くおすすめします。
アポなしの訪問買取で被害を防ぐ対処法
ここからは、アポなしの悪質な訪問買取や、巧みな言葉に乗せられてしまった際に、あなたの大切な財産を確実に守るための、より具体的な対処法について解説します。万が一、悪質な業者と接触してしまったり、勢いで契約書にサインをしてしまったりした場合でも、法律の仕組みと正しい知識を持っていれば、被害を最小限に食い止めることができますよ。
買取業者に課せられる事業者名の明示義務

きちんとした手順を踏んで、お客様の同意を得て訪問してきた正規の買取業者であっても、法律によって必ず守らなければならない厳格な義務がいくつか課せられています。その中でも、お客様の安全を守るために特に重要なのが、「事業者名等の明示義務」と呼ばれるものです。
これはどういうことかと言うと、業者は玄関先で買取の勧誘や査定を始める前に、必ず自分の氏名や会社名を消費者に明確に伝えなければならないというルールです。また、単に名乗るだけでなく、「今日は買取のご契約をする目的で伺いました」「本日査定させていただくのは、事前にお聞きしていたブランドバッグと時計です」というように、訪問の目的と対象となる品物を事前にはっきりと告げる義務があります。
どこの誰だか、どこの会社の人だか全く分からない状態で、いきなりズカズカと家の中に入ってきて、勝手にタンスを開けて査定を始めるようなことは絶対に許されません。もし、会社名を名乗りもしない、名刺も渡さないような業者が来たら、その時点で特商法違反を疑って間違いありません。

私たちのような適正な基準を遵守する買取業者であれば、必ず名刺をお渡しし、古物商許可証や身分証明書を提示して、まずはお客様に安心感を持っていただく努力を徹底しています。私自身もお客様のお宅にお伺いする際は、一番最初に身分と目的をしっかりご説明し、ご納得いただいてからでないとお品物を拝見することはありません。
不審な業者がアポなしで来た場合は、決してドアを開けず、インターホン越しに「会社名と訪問の目的を正確に教えてください」と確認することが大切です。その質問に対して曖昧な返事をしたり、名乗るのを渋ったりする業者には、問答無用で絶対に対応しないようにしましょう。
クーリングオフ制度による売買契約の解除

もし、何時間も居座られて恐怖を感じたり、強引な勧誘に負けてしまったりして、本当は売りたくなかった大切な品物を買い取ってもらう契約をしてしまったらどうなるでしょうか。「サインしてしまったからもう取り返しがつかない」と諦める必要はありません。そんな時に消費者を強力に守ってくれる最大の法的な盾が「クーリングオフ制度」です。
クーリングオフとは、一度契約してしまった後でも、一定の期間内であれば、無条件でその売買契約を取り消す(白紙に戻す)ことができる非常に強い権利を持つ仕組みです。訪問購入(訪問買取)の場合、法律で定められた必須項目がすべて記載された法定書面(契約書)を消費者側が受け取った日から起算して「8日間」は、このクーリングオフが可能です。(出典:国民生活センター『クーリング・オフ』)
この8日間の期間内であれば、「やっぱり家族の思い出の品だから売るのをやめます」「少し冷静になって考え直しました」と伝えるだけで、いかなる理由であっても契約を解除できます。ここで注意していただきたいのが、悪質業者がよくつく嘘です。彼らは解約されるのを防ぐために「訪問買取の場合はクーリングオフは適用されません」とか「今からキャンセルすると違約金や高額な手数料が発生しますよ」と脅してくることがありますが、これらは特商法違反となる真っ赤な嘘(不実告知)です。
クーリングオフの重要ポイント
・法定事項が書かれた書面を受け取ってから8日以内なら、誰でも無条件で解約が可能です。
・クーリングオフを行使するにあたり、違約金や高額なキャンセル手数料を請求されることは法律上絶対にありません。
手続き自体は、言った言わないのトラブルを防ぐために、ハガキや内容証明郵便などの書面で行うのが一般的で確実ですが、最近の法改正によりメールなどの電磁的記録での通知も可能になっています。もし不本意な契約をしてしまって後悔している場合は、決して諦めず、期間が過ぎてしまう前にすぐに行動を起こしてくださいね。
ただし、先ほどお話しした自動車などの一部の「適用除外品目」については、クーリングオフの対象外となるケースもあります。自分のケースでクーリングオフが適用できるかどうか不安な場合は、一人で抱え込んで悩まずに、すぐに消費生活センターなどの専門機関へ相談することが一番確実かなと思います。
契約期間中の物品引き渡しを拒絶する権利

クーリングオフ制度とセットで、あなたの大切な品物を守るために絶対に覚えておいてほしい、もう一つの重要な権利があります。それは、クーリングオフができる8日間の期間中、消費者は買取業者に対して「契約した品物の引き渡しを拒むことができる」という権利です。
これを法律の専門用語で「引渡しの拒絶権」と言います。どういうことかと言うと、業者が提示した金額に納得して契約書にサインをし、その場でお金を受け取ったとしても、クーリングオフ期間の8日間が経過するまでは、品物を業者に渡さずに自分の手元(自宅)に置いておくことができるんです。
なぜ消費者にこんな強い権利が保障されているか、その理由がお分かりになりますか。実は悪質な買取業者は、お客様から安く買い取った品物を、その日のうちに別の業者やオークションに転売してしまったり、金やプラチナなどの貴金属ならすぐに工場に持ち込んでドロドロに溶かしてしまったりすることがあるからです。
そうやって品物の形をなくしてしまえば、後から消費者が「やっぱり返して」とクーリングオフを申し出ても、「もう品物は溶かしてしまったのでお返しできません」と、原状回復を困難にさせることができるからです。こうした悪質な逃げ道を塞ぐためのルールなんですね。
だからこそ、本当に売っていいのか少しでも迷いがある場合は、クーリングオフ期間中は絶対に品物を業者に持ち帰らせないことが、最大の自己防衛になります。もし業者が「契約が成立したのだから、会社のルールで今すぐ品物は持って帰る」と強引に迫ってきたら、はっきりと「特定商取引法で認められた引き渡し拒絶権を行使して、今日は手元に置きます」と力強く伝えてください。
正しいコンプライアンス意識を持った古物商であれば、お客様のこの正当な権利を尊重し、無理やり持ち去るようなことは絶対にいたしません。
買取価格と販売価格の構造的な違いを把握
アポなしの訪問買取でトラブルに発展しやすいのが、「思っていたよりもずっと安く買い叩かれた」「二束三文だった」という金額面に対する強い不満です。インターネットの検索で「訪問買取 押し買い」といったネガティブな言葉と一緒に「安い」という言葉が調べられるのも、この価格に対する消費者の期待値と、現実の買取価格のギャップが原因になっていることが多いんです。
ここで少し、中古品市場における価格決定の仕組みについて、業界の中の人間としてお話しさせてくださいね。私たちが普段、リサイクルショップの店頭やインターネットの販売サイトで見ている高い金額(販売価格)と、業者が一般の方から買い取る時の金額(買取価格)は、その構造が全く異なります。
価格形成のメカニズム
中古品の「販売価格」には、商品を次に売るために綺麗にする清掃・メンテナンス費用、店舗を維持するための家賃、スタッフの人件費、そして広告費など、様々な流通コストと業者の利益が上乗せされています。
一方で「買取価格(仕入れ価格)」というのは、その最終的な販売価格から、業者側が負担する様々なコストや想定利益、さらには長期在庫として売れ残ってしまうリスク分などをすべて差し引いて算出された金額になります。ですから、買取価格が店頭の販売価格を大きく下回るというのは、経済の原則から言えばどうしても避けられないことなんですね。
しかし、悪質な業者は、一般の方がこの複雑な市場の相場観や価格構造を知らないという「情報格差」を徹底的に悪用してきます。「今なら特別キャンペーンで高く買いますよ」と耳触りの良い甘い言葉で持ちかけながら、実際には適正な古物市場の買取相場すらも極端に下回る、文字通りの「二束三文」で大切な貴金属やブランド品を巻き上げようとするのです。
こうした情報格差による被害を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。答えは、一つの業者が提示した言い値でその場ですぐに即決しないことです。きちんとしたルールを守り、本物保証(真贋鑑定)ができる専門知識を持った複数の優良業者から相見積もりを取ることが重要です。
また、過去に私自身が経験した売り場荒らし被害などの教訓から、現在では店舗を持たない「無店舗型古物商」のスタイルをとる業者も増えてきました。無店舗型は家賃等の固定費を大幅に削減できるため、その分を買取価格に還元しやすいというメリットがあります。さらに、お客様の代わりにより高く売れる市場に出品する「オークション代行サービス」を利用したりするのも賢い選択です。客観的な適正価格をしっかりと把握し、自分が納得できる手段を選ぶことが、ご自身の財産を安く買い叩かれないための防衛策に繋がります。
アポなしの訪問買取被害の適切な相談先

もし、あなたが不意に訪れたアポなしの訪問買取業者に怖い思いをさせられたり、威圧的な態度に屈して納得のいかない契約をしてしまったりした場合は、絶対に「自分が騙されたから悪いんだ」と一人で抱え込まないでください。日本全国には、消費者トラブルの解決を親身になってサポートしてくれる公的な相談窓口がたくさん用意されています。
その中で一番頼りになるのが、各都道府県や地方自治体に設置されている「消費生活センター」です。例えば、私が活動している静岡県の御殿場市にも、市役所内に消費生活センター(平日9時〜16時)があり、日々様々な悪質商法や訪問販売の被害相談に乗ってくれています。
もし、お住まいの地域の消費生活センターの連絡先が分からない場合は、全国共通の消費者ホットラインである「188(いやや!)」という電話番号にダイヤルしてみてください。音声ガイダンスに従って操作するだけで、すぐにお近くの消費生活センターや適切な相談窓口に電話を繋げてくれますよ。
消費生活センターでは、専門の知識を持った相談員があなたの被害状況を詳しく聞き取り、クーリングオフを行うための具体的な書面の書き方や、法的な対処法について的確なアドバイスをしてくれます。また、相手が明らかに違法な行為を行っている悪質な業者であると判断された場合には、警察への通報や連携を勧めてくれることもあり、非常に心強い存在です。
迷ったらすぐに相談を!
「騙された自分が恥ずかしい」「家族に知られたくない」と思って対応を後回しにしていると、あっという間にクーリングオフの8日間が過ぎてしまい、取り返しがつかなくなる恐れがあります。
少しでも不審に感じた時や、強引な取引に応じさせられて不安な夜を過ごしている時は、直ちに188番へ電話して専門家の助けを借りてください。訪問買取に関するよくあるトラブル事例やその具体的な解決策については、訪問買取トラブルへの対処法をまとめた記事でも詳しく解説していますので、不安な方はぜひ参考にしてください。悪質な業者は、泣き寝入りする消費者を狙って次々と被害を拡大させます。
地域社会全体で悪質な「押し買い」を排除し、健全なリユース市場を作っていくためにも、勇気を出して声を上げることがとても大切かなと思います。なお、トラブル解決のための正確な手続き方法や最新の法律の解釈については、ご自身で判断しきれない部分もあるかと思いますので、必ず公的機関や専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
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